Peter Serkin Piano Recital @ Toppan Hall 2015 |
トッパンホール主催公演
ピーター・ゼルキン ピアノリサイタル
2015年10月5日(月)午後7時
<プログラム>
チャールズ・ウォリネン:ジョスカンの《アヴェ・クリステ》
スウェーリンク:カプリッチョ
ブル:ドレミファソラ/ジグ
ダウランド(バード編):涙のパヴァーヌ●
バード:ラ・ヴォルタ
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op.109●
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モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K310(300d)
レーガー:《私の日記より》 Op.82より 第1巻 第5番●、第2番/第2巻 第10番
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971●
<アンコール>
J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲よりアリア BWV988 ●
J.S.バッハ:三声のインヴェンションより第5番変ホ長調 BWV791
●は個人的に特に好きだった演奏に明記してみた
久々のP.ゼルキンのピアノリサイタル。トッパンホール初登場。
それにしても想像を超えるプログラミングで驚いた。
未知の曲も多々あり、果たしてこのチラシの順番に弾くのか?と、自分なりのプログラムを考えてみた。が、凡人の浅智恵など思いも及ばず、ゼルキンの確信を持って編んだ曲順に吃驚すると同時に感服し納得させられた。
いわゆる上手く美しく弾くピアニストとは一線を画すゼルキンならではの美学に基づいての演奏ゆえに好き好きは二分されるだろうが、作品をあそこまで深く掘り下げ、自分の解釈をし、それを音にしていることは(演奏家なら皆やっているようで、本当に深く突詰めて解釈まで行き着ける方はそうそういないだろう)非凡な芸術家でないと決して成し得ない。そう断言出来るほど、ただただ圧倒され深く感銘を受けた。
ピアニストは山といるが、今の時代、彼のような音楽家に出会うことは難しいだろう。お父上のルドルフ・ゼルキンや祖父様のアドルフ・ブッシュのDNAは見事に受け継がれている。いわゆる演奏家を超えているのだ。何と言えばいいのだろうか、作品を音に通訳する類い稀なる才能、そして音にするだけでなくその本質を掘り出す感性と美意識は非常に質の高いものだと強く感じた。作曲家が表現したかった精神をそのまま蘇らせるとでも言ったらいいのだろうか、否もしかしたら作曲家さえ驚くかもしれないだろうその本質に迫る解釈、なのだ。
そもそも生きているステージ(分かりにくい表現だが...^^;)がきっと違うのだ。
彼の演奏にただただ酔いしれるばかりだったが、濃密な時間がこれほど生きる充実感に満ちるものだとは、、、何とも幸せな時間だった。
恥ずかしながら以前にも似たような事を書いておりました。
P.ゼルキン2011年9月の演奏会
P.ゼルキン2006年9月の演奏会
<余談>音楽会などのセレクションはほぼ相棒に任せているのだが、最近はピンと来て行きたいと思うような(相棒と私の趣味に合う^^)演奏会がなかなか無く、あるとすれば「王子ホール」か「トッパンホール」の企画くらいで、その2ホールほとんどになってしまった。以前よく通った「紀尾井ホール」にはほとんど行かなくなってしまった。
興行的に成り立つ音楽会へ足が向かなくなっているということだと思うが、我々の行くそれぞれのホールでの演奏会はほとんどが完売しているようなので、特殊な愛好家?(苦笑)向けのマニアックな演奏会ばかり聴きに行こうとしていることになるのだろうか?と相棒と顔を見合わせて笑っている。
今宵の一曲。またまたお父様の演奏を選んでしまったが... 記念に。
◆Rudolf Serkin - Beethoven Sonata No. 30, Op. 109 - Part 1(1987)
親子であっても演奏はもちろん違うが、作品へ向う姿は重なるものがある。