再会の喜び・・・技と心 |
さぬき手打ちうどん『上さ屋』(かみさや)
二月に讃岐うどんの話が出て、その昔通っていた渋谷「長徳」の話を書きました。
「長徳」というお店はもうありませんが、そのときの板長さんが出したお店がようやく見つかり、
高島平まで相棒と出かけてきました。執念です。(笑)
何度か電話で確認しようと試みたものの、たまたま休みと重なっていたようで、それならダメ元で直接行って見ようということに。ホームページが見つかった位ですから、絶対にお店はあるはずだと、土曜の夜、相棒と二人して都営三田線に揺られて「新高島平」まで行って来ました。
ありました。暖簾が出ています。ドキドキしながら、引き戸を開けます、、、。
「うぉー、いたいた!」(笑)
あの顔。そう、「長徳」の女将さん(店を仕切っていた方)。
向こうも気づいてくれて顔が変わりました。
「やっとここまできましたよ。」
「まぁー、お二人とも全然お変わりなくて、、、嬉しゅうございます。」
(今夜は我々、当り前の夫婦の気分。全く偏見を感じません。笑)
挨拶もそこそこにテーブルにつきました。
板長も厨房の中からニコニコしています。
よかった、よかった。やっとあの味に再会できます。
メニューはもちろん、場所柄もあるし低い設定にしています。
なんせ、「長徳」はとてもいいお値段のお店だったから。(笑)
あの値段の半分以下に設定されていました。もちろん、中味も違うはず。
少々のことはいい、とにかくこの板長の料理が食べたかったのです。
「長徳」は店のインテリア、調度品、皿、小鉢、などなど、うどん以外も
全て拘りのある店だったのです。
あれだけ贅沢に材料を使って料理を出して、採算が取れるわけがありません。
先ずはビール。つき出しはあの、「コンニャクの煮物」。
こんなものをさりげなく、それも、とてもいい味に仕上げるのです。美味。
この場所でうどんだけではやっていけないようで、酒の肴もかなりメニューにあります。
イカの刺身、彼の得意な天ぷらを幾つかオーダー。
「イモ天」がありました。長徳でも異彩を放っていた「イモ天」。極々普通のさつま芋の天ぷらですが、スライスした厚さといい、衣の加減といい、絶品だったのです。
あの時と同じとは言えないけれど、ほぼ納得の「イモ天」。
二人してニヤッ。美味いです。
ついでに、「大蒜揚げ」「野菜の掻き揚げ」「イカと野菜の掻き揚げ」なども注文。
この板長(上村正雄さん)は、うどんはもちろんですが、天ぷらの技が凄いのです。
さくっと軽く、上品で、素材のうまみを最大限活かす料理人。天丼もありましたが、
きっと美味しいはず。
いよいよ、「上鍋焼うどん」の登場です。
ここは、注文があってからうどんを茹で始めるので、やはり時間がかかります。
彼の拘りはうどんを茹でることにもしっかり表れておりました。「長徳」の時もそうでしたが、
早めに頼んでおいて丁度いいくらい。
さて、木蓋をとると、、、かつて食べた鍋焼きを思い出すレイアウト。
もちろん出汁も澄んでいます。海老がまた凄い。あのときのまま。
出汁をひと匙味見します。
「・・・」
「・・・」
二人でニヤッ。そう!この味。これを食べるために来たのです!
出汁に板前の心と技が集約されるんだと知った、あの「出汁」の味でした。
確かに、素材はかつてのようには行かないだろうと思いますから、その不足を補う工夫は
されています。(これはいたし方ありません。かつての半値くらいですからね。)
それでも美味い。うどんは丁度いい茹で加減。ごぼうもにんじんも入っています。
舞茸の天ぷらも、烏賊の天ぷらも、かまぼこも、えのきも、細い葱も、たまごも、
もちろん海老の天ぷらもね。
小鉢にワカメがついています。これも彼の拘り。鍋に入れて一緒に食べるのです。
薬味の、万能葱、白ゴマ、七味唐辛子。
どれもこれも昔を思い出させます。
あの名店「長徳」で食べた「あの味」がここ高島平でひっそりと生き残っていたのです。
値段設定があるので、かつてのような贅沢三昧というわけにはいきませんが、それでも
十分に味わえる、満足のいく味。心も体も再会した「あの味」に心から満足しました。
最後の最後まで味わって、、、ご馳走様でした。(笑)
板長とも女将とも、今回初めてじっくりと話をしたのですが、我々のこともよく覚えていてくれて
わざわざ出かけて食べに来てくれて大いに喜んでいるようでした。
「長徳」閉店の経緯も少し伺いましたが、いづれまた都内に店を出したいと考えておられる言葉を聞きました。是非とも夢を実現していただきたいと思います。
それまで、何度か我々も通わねばと決意を新たに店を出ました。
嬉しかった、美味しかった。
再会の味は紛れもなく「あの味」でした。
蕎麦のよく取れる田舎の出身地からなのか
街に出てもうどん屋に入ろうと思ったこともないし
なにがうまいうどんなのかもあまり知らないままでしたが
とってもいってみたくなるうどん屋ですね、高島平って一時の新興住宅地ではなかったでしょうか?
うどんも知ればそれなりに奥深いようですよ。
讃岐うどんはコシがあって、のどごしもとてもいいです。
ボクはうどんの中では、讃岐うどんが一番好きですが。
この板さん、出汁に相当こだわりがあって、深みのある滋味豊かな
上品な出汁を作られます。この出汁スープだけでも、心身ともに癒され、
豊かな気持ちになれるんです。
場所は、マンションの林立する町の中ですよ。
ありがとうございます。近いうちに是非!(^^