音楽って何なの? |
♪アレクサンダー・ガブリリュク ピアノ・リサイタル
12月1日 東京オペラシティ コンサートホール
◎プログラム
バッハ(ブゾーニ編):トッカータとフーガ 二短調 BWV565
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 K.576
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 D.664, Op.120
ラフマニノフ:練習曲集op.39「音の絵」(全9曲)
モシュコフスキ:15の熟達の練習曲Op.72 より第11番 変イ長調
M.バラキレフ:東洋風幻想曲「イスラメイ」
アンコール
スクリャービンop.2-1
スクリャービンop.8-12
熊蜂の飛行(シフラ編)
フィリペンコのトッカータ
*テレビカメラが入っているので、そのうち放映されるかもしれません。
A.ガブリリュクのプロフィール
1984年ウクライナ生まれ。1998年にオーストラリアのシドニーに移住し、1999年
ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクールと、オーストラリア・ピアノコンクールで第1位。
2000年11月の浜松国際ピアノコンクールでも、第1位。
翌年、コンサートのために来日、さらに2006年の1月から2月にも全国ツアーを行っている。
2002年に自動車事故にあい重症を負ったものの奇跡的に復活し活躍している。
プロでもないし、ピアノに精通している人間でもない。
ただ単にクラシック、ピアノが大好きな人間である。
偉そうなことは何ひとつ言える立場じゃない。
十分承知しているのだが、、、、
ガブリリュクのピアノ・リサイタル・・・残念ながら心が奮えなかった。
非常にいいものを持っているピアニストだと思う。
技術的には申し分ないし、センスもある。
力強さもあるし、弱音も美しく弾ける。
超絶技巧の難易度の高い曲は・・・とにかく人間技と思えないほど「凄い」。
これだけ褒めても・・・心は奮えなかった。
休憩時に相棒と会話する。
相棒「どう?ボクは結構好きだけど...」(好きというわりにはあまりニコニコしていない)
ボク「う、うん。・・・何かね、言っちゃ失礼なんだけど、、、猿回しの猿を想像しちゃったよ。」
(↑我ながら、何と不遜な発言だろうと思うが、その時の正直な気持ち。苦笑)
相棒「えっ?そこまで言うか...?あまり感動してないようだとは思ったけど。」
ボク「ゴメン。これが前半の正直な感想でね。上手いし、センスもあると思うし、、、。
でも、まだ若い。これからだと思うよ。つく先生が大事だなと思うな。」
相棒「ふーん、そう思うか。」
ボクの音楽鑑賞の先生でもある相棒。(笑)
先生の言うことは正しいと思いつつ、、、反抗した。(最近は反抗期、自立期。爆)
残念ながら、後半のプログラムを聴いても感想は変わらず。
聴衆は拍手喝采。んで、アンコール突入。
超絶技巧炸裂。本当にその技は半端じゃなく凄い。でも感想はそのまま変わらず。
それにしても今の若いピアニストはほとんど締めがこうなりがち。
自分の技量を見せつけるかの如く、超絶技巧の曲をこれでもかと弾きまくり。
確かに上手いし、凄いけれど、、、それだけ。
ふと横を見ると、相棒は拍手していない。
アンコールが終らないうちに腰を上げた。
一応終るまで待たせて、一緒に早々と席を立つ。
相棒「今回はあなた(←ボクのこと、笑)の言ったとおりになったね。あれじゃ、ぶち壊しだ!
スクリャービンを弾くには十年早い!やはり若いってことか?・・・。うーん。」
ボク「・・・。十年後が楽しみじゃない、どうなってるかさ。でも可能性は十分あるはず。」
コンクールに優勝した新進気鋭の有望なピアニストを捕まえてここまで語るボクらは...
一体何様と思われた方も多いでしょう。
音楽業界には一切関係ない人間で、ただ「真の音楽とは何か」を追求したいだけのオヤジです。
彼の演奏を心から楽しまれた方、感動された方、、、、勝手なこと書きましてゴメンなさい。
あくまでも、一聴衆の感想ですので。(^^; 失礼致しました。
「ガブちゃん!頑張れよ~~~!10年後に期待してるからな~~~!」 <(_ _;)>
このガブちゃん、私は聴いたことがないのですが、84年生まれでテクニックが「凄い」のであれば、それこそ10年後20年後が楽しみですね。
コメント有難うございます。若くてコンクールなどで優勝経験のある演奏家って、どんな感じですか?
もちろん人によるでしょうし、プライベートと演奏は関係ないとも思うのですが、、、知らない方がいいのかなー。(苦笑)
若々しくて、清々しくて、好青年で、ピアノが上手くて、文句なしなんですがね。
10年後、20年後の彼に期待しましょう。
(コメント その1)
私が思うに、音楽家にはアート派とエンターティナー派がいるのではないでしょうか。
「音楽は芸術だ!」と最初に言い出したのはベートーベンだそうですが、そのベートーベンをアート派の代表格としたら、エンターティナー派の代表格はモーツァルトでしょう(モーツァルトは、自分が芸術家である、などとは、おそらくツメの先ほども思っていなかったはず)。
そしてガヴリリュクです。彼はもちろん、コテコテのエンターティナー派。
超人的な技巧で人々を魅了してしまう。もちろん音楽性も十分あります。
おそらく彼は、お客さんにどうしたら楽しんでもらえるか、をいつも考えていて、観客を熱狂させることに至上の喜びを感じる人なのでしょう。
第5回の浜コン(浜松国際ピアノコンクール)を、圧倒的なテクニックで16歳で制し、審査委員長をして、「至上最高の16歳。」とまで言わせたほどの力量を持ちながら、サービス精神に徹してエンターティナーを演じ切るというのは、それはそれで非凡な芸当だと思いませんか。
ちなみに、次の第6回浜コンで最高位を分け合った、ブレハッチとコブリンが、ガヴリリュクとは対極の超アート派であったのは興味深いです。
とりわけ、コブリンは求道者みたいな人で、最高の演奏をめざして聴衆のことなど気にもとめず精神を深く集中するのは良いとして、演奏が終わってからも聴衆に対してニコリともしない (なんと無愛想な・・・)。
オイオイ、もうちょっと愛想というものがあってもいいんじゃねーの、と言いたくなったりします。
そのかわり、その音楽はまるで別世界のもの。信じられない・・・。
一方のブレハッチ君は、子供のころからずっーと教会でオルガン奏者を
していただけあって、その演奏を一言で言えば、「神に捧げる演奏」という言葉がまさにぴったりの美しい音楽です。
それゆえ、芸術作品を期待してガヴリリュクを聴くと、「なんだこれは。音楽は大道芸じゃねーぞ!」と言いたくなるし、
今日はどんな演奏で楽しませてくれるのかなー?と期待してコブリンの演奏会に行ったりしたら、「なんて無愛想な若造だ。生意気だ!」となるんじゃないでしょうか。
私は、10年たっても、たぶんガヴリリュクはやっぱりコテコテのエンターティナーじゃないかな思います(というか、彼はそうであってほしい)。
長文になってしまいました。失礼しました。
ガヴリリュクの演奏を聴いて、
「こう言っちゃ失礼なんだけど、、、猿回しの猿を想像しちゃった。」
というのは笑えました。実に絶妙な表現だと思います。
思うに、本人もエンターティナーに徹し切ってるから、それを知ったら、
たぶん喜ぶんじゃないかな。
ようこそおいで下さいました。初コメントとても嬉しく拝読しました。
何度も書いて下さって、本当に有難うございます。<(_ _)>
浜松在住でいらっしゃるんですか?浜コンのこと、よくご存知ですね。
ガヴリリュクのエンターティナー説・・・凄く納得してしまいました。
ブレハッチやコブリン君との比較で、より一層違いがはっきりしますね。
ボクはまだコブリンは未聴ですが・・・。
言われてみれば、アート派だけが音楽界で成功するわけでもないし、エンターティナー派だけでもない、というのが当り前ながら納得できた気がします。(笑)
一派だけの世界などありえないのでしょうから、音楽も然りですね。
ボクも相棒もアート派が好きなんだと思います、きっと。(^^
・・・つづく
音楽とは何か?
好みの「派」もあるし、一言で表わすのは難しいですが、たとえエンターティナー派であっても、その演奏に「音楽」が存在していなければ演奏家を続けることは難しいでしょう。
またアート派であっても、聴衆の支持を得られないのでは、自分の思うものも演奏出来なかったり、音楽家としての環境も整備できないでしょうから、どちらにしてもなかなか難しいことではありますね。
「猿回しの猿」・・・我ながら、とんでもない表現をしてしまいました。
「猿」がガヴちゃんとしたら、一体、「猿回し」は誰?
先生?いや聴衆?ご本人?
どう成長されるか、この目と耳で10年後を確かめたいと思います。
そのときは是非ご一緒しませんか?
拙いブログですが、今後とも宜しくお願い申し上げます。<(_ _)>
コブリンの演奏は、次のページで何曲か聴くことができます(無料)。
最初のパガニーニラプソディは、なぜかいつも準備中ですが。
http://www.piano.or.jp/enc/pianist/0095.html
http://www.piano.or.jp/enc1/tw/07/0803.html
ちなみに、ガヴリリュクの演奏も・・・
http://www.piano.or.jp/enc/pianist/0049.html
つづく
あらためて自分のコメントを読んでみたら、間違いがありました。
・ガヴリリュクの浜コン登場は、第5回じゃなくて第4回、
・ブレハッチとコブリンの登場は、第6回じゃなくて第5回、でした。
失礼しました。記憶違いでした。訂正させていただきます。
それと、「ガヴリリュクは、コテコテのエンターティナー派。」などと
言い切ってしまいましたが、一応、彼をちょっと弁護:
もしかすると、ガヴリリュクは自分の机に、いくつか引き出しを持っているのかもしれません。コンサートでは聴衆が一番よろこんで熱狂する、
「超絶技巧テンコ盛りの熱演エンターティナー。」という引き出しをあけて披露しているだけなのかも。
こちらの側から、「超絶技巧は、もうおなか一杯。次回は、ショパン、ブラームス、リストのスタンダードでお願い。あ、超絶テクの無いやつね。」
とリクエストしたら、サッと別の引き出しを開け、これまでとうってかわって、詩情豊かな演奏を(高いレベルで)披露してくれるかもしれません(なにしろ彼は怪物です)。
ご丁寧にアドレスまで書いて下さって恐縮です。
ガヴリリュクの演奏のことですが、決して非難しているわけではありません。
ただボクのテイストではなかったと言うことです、念のため。(苦笑)
確かに彼の引出しは一杯あるのかもしれません。違う引出しを開けて
安々と素晴しい演奏をされることも十分想像できます。
敢えて申し上げるとすると、彼はあのような演奏をする人だと言うことです。そういう方だと分ったので十分に納得したのです。
たとえ若くて、超絶技巧を難なくこなせるけれど、敢えてそれを出さないタイプの演奏家もおられるでしょう。ボクは、そちらの方を良しとするだろうと言うことです。(もちろん内容があってのことですが)
演奏とは、ある意味自分自身の表現でもあるわけですから、キャラクターが出ないわけはありません。如何様に弾くことが出来ようとも、自分の表現としてどう弾くか、がボクが音楽家に求めるものなのかもしれません。
コメントして下さったのお陰で、自分の音楽観が少し整理できた気がします。
何度も有難うございました。
これからも遠慮なく色々コメントをお願い致しますね。