マタイ受難曲・BCJ |
■ キリストの埋葬 (Deposizione nel sepolcro) 1600年 作:ミケランジェロ・メリージ
(Michelangelo Merisi、1571年 - 1610年)=カラヴァッジオ(Caravaggio)
300×203cm | 油彩・画布 | ヴェティカン宮美術館(ローマ)
鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン
BCJ特別演奏会/受難節コンサート2008
J.S.Bach 「マタイ受難曲」BWV244
3月21日(金)---聖金曜日 バッハ323回目の誕生日!
於:東京オペラシティ コンサートホール
開演:18時30分 終演:21時45分
今までに聴いた中で一番の感動を得た昨夜の演奏会だった。
バッハのマタイ受難曲、初演は1727年。
バッハは1685年3月21日生れ(323回目の誕生日!)、初演時は42歳。
Wikipediaから・・・
ヨハン・ゼバスティアン・バッハのマタイ受難曲(Matthäus-Passion)は
新約聖書「マタイによる福音書」の26、27章のキリストの受難を題材にし、
聖句、伴奏付きレチタティーヴォ、アリア、コラールによって構成された音楽作品である。
BWV244。台本はピカンダーによる。
正式なタイトルは 「福音史家聖マタイによる我らの主イェス・キリストの受難
Passion unseres herrn Jesu Christi nach dem Evangelisten Matthäus」。
バッハのライプツィヒ時代(1723年-1750年)を代表する作品であるとともに、
その全作品中の最高峰に位置づけられる。
宗教作品であるが、様々な人間的に普遍的なドラマが描かれており、その音楽の壮大さ、
精緻さ、大胆さ、精神性は、しばしばクラシック音楽、西洋音楽作品中の最高傑作とさえ
評されるほどである。
バッハ・コレギウム・ジャパンの「マタイ受難曲」。
今までに演奏会で聴いた「マタイ受難曲」中で一番の感動を得たと思えるほどの名演だった。
凄まじいばかりの集中力・作品への深い想い・・・。
これまでに何度も聴いてきた曲であるが、これほどまでに心に残るものはない。
今も頭の中で昨夜の演奏がまだ続いているよう。
彼らは今日、大阪で再度マタイの演奏会。
埼玉、東京に続いて、三日連続。
プロとは言え、驚嘆に値する。
バッハ・コレギウム・ジャパンの常連歌手を総取替え。
まさに、BCJの新生「マタイ受難曲」だった。
音楽監督、鈴木雅明氏のこの曲に賭ける強い思いは確実に伝わった。
聴く者にも、そして舞台の上で演奏をする奏者、歌手、合唱団にも。
既にCD録音はされているが、今回のものはそれを超える完成度の高さ。
細かいことを上げればキリがないけれど、総合的に見てかなりのレベルの高さだと
ボクは思う。
かつての録音(1958年)で名盤とされるカール・リヒター指揮の「マタイ」が有名だが、
あれはあれで素晴しいし、ボクにとっても宝物のひとつではあるが・・・。
現代における、古楽器による演奏で、ここまでの演奏をできるグループはないだろう。
鈴木 雅明 指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン 合唱と管弦楽
ヤン・コボウ(エヴァンゲリスト=福音史家)
マルクス・フライク(バスⅠ/イエス)
ハナ・ブラシコヴァ(ソプラノⅠ)
藤崎 美苗(ソプラノⅡ)
ダミアン・ギヨン(アルトⅠ・カウンターテナー)
上杉 清仁(アルトⅡ・カウンターテナー)
パク・スンヒ(テノールⅡ)
ドミニク・ヴェルナー(バスⅡ)
特に印象深く残ったのは、有名なアリアはもちろんだが、それを支える演奏。
トラベルソであり、オーボエ・ダ・カッチャであり、ヴィオラ・ダ・ガンバであり、、、
合唱、歌手を支えるグループⅠとⅡの管弦楽は最後まで弛緩せず、緊張感を貫いた。
もちろん、歌手は素晴しい歌唱をした。
ソプラノⅠのハナ・ブラシコヴァ・・・完璧過ぎるくらいの音程と透明感溢れるソプラノ。
息すらできないほどの空気が流れた。今後のBCJには欠かせないソプラノになるはず。
同ソプラノⅡは、お馴染みFさんの合唱の先生でもある藤崎美苗さん。
彼女は回数を経るたびに度胸が据わり、歌も安定して余裕も出てきている。
今回の出来は今まででも一番だと思う。素晴しかった。ますますの活躍を期待したい。
ソプラノ・イン・リピエーノのパートも担当。堂々たるものだった。
カウンターテナーのダミアン・ギヨン・・・もう吃驚。素晴しいのだ。彼の安定したアルト、
涙なくして聴くことが出来ないほどだった。もちろん拍手も大きかったことは言うまでもなく。
上杉さん・・・彼も日本人には珍しいカウンターテナー。ますます腕を磨いている。
ソプラノ・イン・リピエーノのパートで前に出て歌われたカウンターテナーの青木洋也さんも
忘れてはならない。彼も確実に上手くなっていると思う。
イエス役のマルクス・フライクは初めてだった。イエスにピッタリのバスだった。
彼の声で全体が締まったように思う。
もちろん、もうひとりのバス、ドミニク・ヴェルナーも益々快調。気持ちの入った歌だった。
今後の活躍が楽しみな歌手。
そして、エヴァンゲリスト・・・ヤン・コボウ。正直、最初は頼りなげに感じていたのだが、、、
というのも、最近はゲルト・テゥルクが歌うのだが、彼があまりに上手すぎるのだ。
なので、ヤンがかわいそう。もう少し声が出れば言うことないのだが、声量に欠ける。
そう思いながらも、熱の入った福音史家を聴きながら、気がつけば彼の表現の中に入っている自分がいた。約3時間もの長時間にわたる「マタイ」を支える進行役。
よくぞ、頑張ったと思う。彼にとっても、この役は貴重な財産となるはず。よかった。
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演奏会が終ったのが、22時前。
あまりに深い感動に包まれて、頭がボーっとしているかのようだった。
このまま帰路につくには・・・相棒も同じ様子。(翌朝早いのに。苦笑)
某ホテルに立寄って、ビールを一杯。緊張の糸を紐解く。(笑)
それにしても、頭がまだ「マタイ」の世界から戻らない。
たっぷりと3時間。素晴しい時間を持て幸せだった。
きっと、今日の演奏会のことは忘れないだろうと思う。
演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン 会場:彩の国さいたま芸術劇場 2008年3月20日 少し前に海外のグループの『ヨハネ』公演を二つ続けて聞いた(感想はこことこ... more
バッハの誕生日に「マタイ受難曲」を聴くというのは感慨深かったでしょうね。
ましてBCJの演奏なら尚更です。
それにしても思い切って独唱者を変えてきましたね。
デュルクが・・コーイが・・ロビンズが・・・
エヴァンゲリストとイエスが交代となるとガラッと変わると思いますが、
新しいメンバーがそれぞれ力を発揮しているようで安心しました。
美苗さん(先生だった・・です)もすっかりソプラノⅡに定着しましたね。
彼女の透き通る美声は大好きです。
ハナ・ブラシコヴァの歌声も聴いてみたいです。
CTのギヨンも気になるし・・・これはやはり演奏会に行くしかないですねぇ。
トミーさんの感動がよく伝わってくる素敵なレポをありがとうございました。
こんばんは。コメントいただき有難うございます。
お恥ずかしいレポで・・・存分に楽しんできました。
本当に聴きに行けてよかったです。ご一緒したかったー。(^^
ベテラン独唱者が変わることで、誰に頼るでもない自分達のマタイを
歌おう・・・そんな気概が伝わってくるようでした。
見事なまでの芸術作品を作ってくれた感じでした。
Fさん!是非聴きに行きましょうよ。(笑)
美苗さんも今年は大きなステージがたくさん控えておられます。
舞台度胸もついて、ますますご活躍が楽しみですよ。
ハナさん、ギオンさんの歌声も是非お聞かせしたいーーーー。(笑)