ファウスト&メルニコフのベートヴェン・Vnソナタ全曲演奏会へ |
やはりタダモノではないこの二人。
かなり個性的なベートーヴェンのソナタと思うのに、とても心に響く。
今どき稀有な存在のヴァイオリニストとピアニスト。
しばらく目が離せない。
昨年聴いたファウストの演奏会記事
同じくメルニコフの2009年演奏会記事
イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ
ベートーヴェン・ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会
◆第一日 2012年2月16日(木)19:00 王子ホール
第1番 ニ長調 Op.12-1
第2番 イ長調 Op.12-2
第3番 変ホ長調 Op.12-3
第9番 イ長調 Op.47「クロイツェル」
(アンコール:ウェーバー Vnソナタ ニ短調 Op.10a-3から二楽章 ロンド)
◆第二日 2012年2月17日(金)19:00 王子ホール
第6番 イ長調 Op.30-1
第7番 ハ短調 Op.30-2
第8番 ト長調 Op.30-3
(アンコール:シューマン "三つのロマンス" Op.94 - 第2曲)
◆第三日 2012年2月18日(土)14:00 王子ホール
第4番 イ短調 Op.23
第5番 ヘ長調 Op.24 「春」
第10番 ト長調 Op.96
(アンコール:シューベルト"ソナチネ第2番"D.385 第一楽章
ジョン・ケージ"ピアノとヴァイオリンのためのノクターン")
*三日目は残念ながら仕事の為、相棒のみの鑑賞となった。(>_<)
Isabelle Faust & Alexander Melnikov play Beethoven(Recording)
*2月21日追記
特に強く印象に残った初日の感想を少し残そうと思う。
第1番 ニ長調 Op.12-1
第2番 イ長調 Op.12-2
第3番 変ホ長調 Op.12-3
第9番 イ長調 Op.47「クロイツェル」がプログラム。
1,2番はまだよく分からないなと思っていたら、第3番の変ホ長調から音楽が急にパッと色付いた。
ヴァイオリンとピアノのキャッチボールの巧みさ!
けっしてガナラない抑制的な音楽づくり。お互いの感覚を確かめながら、新たな反応を期待しつつ次の一手を投げかけるような、そんなデュオの醍醐味を感じながら二人の音楽に聴き入った。(3番から音楽が色付いたと感じたのは相棒も同じだった。)
メルニコフは時折(楽章の合間)調弦中のファウストに何かを(目で)語りかける。
「オレ、今さっきの(楽章)納得しきれてないからねー。」
「分かってるわよ。今本番中なのよ。大丈夫よ、いい方向に音楽が流れてるから、
心配しないでついてきて。いいわね。」
「そう、分かったよ。じゃ、次、始めていいね。いくよっ。」
そんな会話をしているかどうか、あくまでも私の妄想だが(苦笑)、なかなかこのデュオはいい線いっていると思う。お互いの才能をしっかり認めつつもより高みをめざそうとしている感性が似ている。
メルニコフは本当に自分の音楽を創りたくてたまらない様子だし、その感覚を理解しているファウストも彼に触発されながらも自分の音楽をちゃんと創っていくのだから素晴らしいのだ。
どちらに主導権があるとかないとか、そんなレベルではなく二人で造り出すベートーヴェンの世界なのだ。ファウストとメルニコフがベートーヴェンに向いているかどうかと言えば否だろうと思うのだが、それでもあそこまで深く音楽を掘り下げている才能には脱帽だ。
とにかく二人共にセンスが煌めいていて「あぁ、そこ素敵じゃないか」と思う箇所がいっぱい。
三日連続のチクルスというのは集中できるだろうが体力的にもキツいはず。聴く方がキツいのだから当然弾く方は推して知るべし。
出来ればもう少し日程的に緩めが希望か。
今の時点で活躍する音楽家の中にあって、この二人の存在はかなり大きなものだと思う。より本物を目ざして、また新たな音楽世界に連れて行ってほしいと願うばかりだった。
今回は珍しくサインを頂くことにした。楽器を離れるとファウストはチャーミングな可愛い女性になり、メルニコフは少年のようなハニカミ屋さんながら、知性溢れる男性だった。
来週はメルニコフのソロが待っている。ますます期待が高まっている。(^^
記念に「ヴァイオリン・ソナタ第10番」(レコーディング風景)を。
この10番だけが作曲年が飛んでいて1812年作。(1番から9番までは1798年から1803年の作。)
ファウストの左手の様子を見て分かる通り、ノンヴィブラートではないがヴィブラートは非常に少なめ。そして二人とも非常に繊細なタッチで弾き音楽を創っていっている。
◆Isabelle Faust(Vn), Alexander Melnikov (P)
Beethoven: Violin Sonata #10 In G, Op. 96 - 1. Allegro Moderato
私は新聞の批評でしか知らないのですが、それはそれはスゴイ二人のようですね。生で聴きたかったです。
ベートーヴェンVnソナタにおいては、来月樫本大進に行きます。ファウストとは全く違うでしょう・・・。だから面白いですね。
こんばんは。コメント有難うございました。
ファウストのヴァイオリンのことが素晴らしく的を射た表現で「流石!」と唸りました。表現したい音が修練を積んだ技術の上に成り立つのは当然でしょうが、技術が目立つようなことは全くありません。それはメルニコフにも当てはまりますが、稀に見る逸材であることは間違いないと思います。二人ともヴァイオリニストとピアニストを越えて音楽家、芸術家です。
実は昨日はメルニコフのソロ、ピアノ(ショスタコの24の前奏曲とフーガ全曲)を聴いてきました。一度聴いてみて頂きたいピアニストです。
来月の樫本君、楽しんできて下さい。リフシッツとの共演も多々ですので、安定感があるし、彼の作ろうとする音楽がよく見えてくると思います。全く違うことは間違いないです。(笑)また是非!