世界バレエフェスAプロ感想まとめ(その3) |
<プログラムA>
■第3部■
「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー
相棒一押しのシュツッツガルト・バレエの若きラドメーカーのロミオはなかなかだった。若さ溢れ、恋人に会いたい一心のロミオにぴったり。アイシュヴァルトとのペアもばっちり。今後の活躍が楽しみなダンサーだ。
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス
初ルテスチュとマルティネス。ベテラン二人の素晴らしいダンスで満足。
パリ・オペラ座はこれだ!という感じ。二人の踊りを見ることが出来て幸せ。
Bプロではロパートキナとゴメスがこれを踊るのだが、さてさて楽しみ。
「ディスタント・クライズ」
振付:エドワード・リャン/音楽:トマゾ・アルビノーニ
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ
お久しぶりのザハーロアは出産の影すら見せない体型で美しさも健在。
さすがである。
足の上げ方も十分過ぎだし、コンテを踊らせてもしっかり十分こなしている。
支えるメルクーリエフには何の不安感もなく彼の技量は十分伝わる。
ザハーロアは上手過ぎる、巧み過ぎるのだ。
実は彼女のお陰でバレエがこれほど好きになったのだが、、、
彼女ならではの役、ダンスとは何なんだろう?と思う。
「パガニーニ」
振付:マルセロ・ゴメス/音楽:ニコロ・パガニーニ
マルセロ・ゴメス
ますます油ののったゴメスは、自分の振付で登場。
チャイニーズのヴァイオリニストとのコラボレーションで楽しくユニークな構成。
肩の力が抜けていて、体はどのようにでも動き踊れるぞ、と思わせる。
彼の力量は十分に発揮されているし、スター性も十分。ますますファンが増えるだろう。何でもこなせるだろうが、今後は彼ならではの役、ダンスを見つけることが課題かと思う。
「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ヨハン・コボー オーギュスト・ブルノンヴィルに基づく/音楽:ヘルマン・S.レーヴェンスヨルド
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
ロイヤル・バレエのベテラン二人は安心して見ていられる。
でもなぁ、彼らにこの演目はぴったりかと聞かれると、???とも思う。
クールビューティなタマラ・ロホは会場で見かけるととても若々しく思ったのだが、逆に舞台上の方が○けて見えてしまうな気がして残念。以前、彼女のオーロラ姫を拝見したが、完璧と言えるほど上手いのだが、もっとぴったりの役があるように思えるのだが、、、。何が彼女に合うんだろう?バヤデールのニキヤか?
マックレーはジェームズ役に合っていると思う。チェックのスカートがよく似合い、躍動感いっぱい。体の重さを感じさせないのだから凄い。
■第4部■
「ブレルとバルバラ」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ジャック・ブレル、バルバラ
エリザベット・ロス ジル・ロマン
初めてのベジャール作品。後継者ロマンの存在感はさすがだと思った。
今回のバレエフェスのダンサーの中でもこの二人は特異な存在ながら、ダンスとは何か、体を使っての表現の可能性も含めて考えさせられることがいっぱいあって楽しかった。
東洋的なニュアンス(着物風ガウンを着ていた)もフランスらしいし、シャンソンを体現するのは彼らにしか出来ない感性だろうと思った。
またベジャール作品を観る機会を持ちたい。
「明るい小川」よりパ・ド・ドゥ
振付:アレクセイ・ラトマンスキー/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
ベテラン二人の登場。ラトマンスキーの振付の「明るい小川」はボリショイの来日公演で観ることが出来ずじまいの作品。全幕で見ないとあまりよく分からないが、コミカルな感覚は二人の踊りで十分伝わるし安心して見ていられた。これは全幕で見るべしだ。
「カンタータ」 (世界初演)
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:ヨハン・セパスティアン・バッハ
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
ベストペアの二人による、初ナチョ・ドゥアト作品。
マラーホフがドゥアトに委嘱した作品で今回が世界初演である。
馴染みあるバッハのカンタータにのって、静かさの中での精神性の高い踊り。
何をどう表現しようとしているのか、というより感覚的に捕らえる方がいい作品だと思った。マラーホフがちょいと太った感あり。
「オネーギン」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
またまた登場はセミオノワとフォーゲル。あなた達は何でまた二度も踊れるの?(^^
二人とも十分に上手いのだが、何せ以前ルグリとアイシュヴァルトのペアで観ているしまっている身には満足は難しい。人生経験が踊りにどう投影出来るかが二人への課題だろう。
「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ
最後はやはりコレ。
フェスティバルなんだから派手に終わらなきゃね。
とは言うものの、踊るのはサラファーノフと人気上昇中の黒髪のノヴィコワ。
マリインスキー仕込みだからこその「ドン・キ」は品があるのだ。
ノヴィコワをしっかりサポートするサラファーノフはますます安定している。
ミハイロスキー・バレエに移籍して今後どんな踊りに挑戦していくのか楽しみ。
何だかんだ、若干辛口ぎみで感想をまとめたのだが、全体としてはとても満足して観終わった。
あっという間の4時間だった。世界でも頂点に立つダンサー達の競演にとてもワクワクし、楽しんだ。これを見逃すと今後見れないかもと思われるベテラン達も多々いるし、今回初登場のロパートキナにはよくぞ来てくれたと感謝したい位だった。生デュポン、生ルテスチュにも感激。(^^
それにしてもよくぞこれだけの面々が集まった、集められたと思う。
カーテンコールで並ぶ面々を見るにつけ溜め息が出るばかりだった。
三年に一度とはいえNBSの凄さも見せつけられた気がする。(←気になることはあるが。笑)オケの東京フィルハーモニーも大活躍。音楽も十分に楽しめた。
さてさて、次はいよいよBプロ。楽しいけれど忙しい。
けど、やはり待ち遠しい。(笑)